受験に役立つコラム

2026年関西圏中学入試展望

2025年11月10日
執筆:日能研関西 進学情報室 室長 森永 直樹氏

中学受験率の過去最高値更新は確実!!

ピークは2027年入試!?

2025年入試の近畿2府4県の受験者数は、統一入試開始日の1月18日の午前で17,583人となり、前年度より271人増加しました。また、中学受験率(統一入試開始日の午前の受験者数÷近畿2府4県の小6児童数)は10.52%となり、これまでの最高10.47%を超え、過去最高値となりました。 

関西で中学受験への注目が高まっている要因は、大阪府で昨春からスタートした高校授業料無償化です。所得制限が撤廃されたことで大阪府民全体が対象となり、高校の授業料が実質無料となるため、これまで私学を選択肢に入れていなかった家庭も私学への進学に目を向けるようになりました。もう一つの要因は兵庫私学の学校改革(共学化や新コース制)の活発化です。学校の将来構想の実現にむけた新たな魅力発信が中学受験層に広がりつつあります。

2026年入試の受験者数は、17,800人から18,000人あたりと予想しています。大手進学塾で実施されている公開模試の受験者数からの推測なので、数読みが難しいライトな受験生(塾に通わない受験生)が増加すればもう少し増える可能性もあります。中学受験率のさらなる上昇は確実で、2025年の最高値を更新するのは確実と見ています。

関西圏では少子化が続いていくので、今後も中学受験率が上昇していくと思われます。実際の受験者数も増加傾向にはなってきていますが、大きく増加するのが2027年入試と予想しています。人気が特定の学校に集中した場合には、大きく難度が上昇する可能性もあり、既に1年先の入試が話題になっています。

2026年入試の動向について

 難関校の動向については、男子の受験動向で二つの点に注目しています。まず一点目が今年の入試で52人減となり、難関校の中ではねらい目となった甲陽学院の動向です。大学進学実績があり、魅力ある教育を実践している学校なので、志願者数がどれだけ回復するのかという点です。

もう一点は大阪の高校無償化の影響もあって、今年の入試で46人増となった大阪星光学院の動向です。これまでは隔年現象で志願者数が推移してきていますが、大阪の中学受験ブームの中で2年連続の増加となるかという点です。

すでに3倍近い実質倍率になっている最難関の灘は、近年続いていた首都圏からの受験生の増加も落ち着いてきており、ほぼ今年と変わらないのではないかと予想しています。

数年前には、そろそろ大学附属校人気が高止まりの状態になると予想していたのですが、さらに上昇した中学受験率とともにまだまだ勢いがあります。その人気は今年の入試では関関同立の附属校にとどまらずに産近甲龍の附属校にまで広がりを見せました。この傾向が続くのかそれとも関関同立の附属校に再び人気集中するのかという点に注目しています。また、関関同立への継続コースを持つ、大阪立命館(立命館)や帝塚山学院(関西学院)、育英西(立命館)の人気が根強く、2026年入試でも注目されていることから、志願者が増加すると見ています。

共学化や新コース制、教育改革などにより大学進学実績が上向いている共学進学校の人気が高まっており、2026年入試でもこの傾向は続くと思われます。学校名をあげると、大阪桐蔭、金蘭千里、箕面自由学園、雲雀丘学園、滝川などで、統一入試日だけでなく、全日程で志願者が増加すると見ています。これらの学校は以前から併願校として人気があったところに第一志望で受験する生徒が増えてきており、統一入試日午前の志願者数がどれだけ増加するかに注目しています。

人気の国立中高一貫校の大阪教育大学附属池田が2026年入試から大きく選抜方法が変わります。これまでは私立中学入試が終わってから実施されていた入試が統一入試開始日の午前に変更となり、これまで併願で受けていた私立中学の日程と重なりました。

この日程変更によって大阪教育大学附属池田の志願者数が増減することは考えにくいのですが、これまで併願先として選ばれていた学校の統一入試開始日の午前の志願者数には影響します。また、併願先も別日程での選択となるためにこれまでの併願パターンからは大きく変わる可能性もあります。今後の動向が注目されます。

 

入試における「加点制度」について

関西圏での中学入試の選抜方法は多様化しています。適性検査型や英語入試の導入やプレゼンテーション入試といった新型入試などが存在します。

近年は新型入試の導入の動きは落ち着いてきていますが、「英検資格加点制度」が増加し続けています。2026年入試ではこの加点制度を採用する学校が65校となっています。学校によっては小学生でも取得が可能な範囲の「英検4級」や「英検3級」でもそれなりの点数をくれるところもあるので、有資格者は要チェックです。

また、複数回入試を実施している学校の中には、2回目(3回目も)に受験するときに加点してくれる学校があります。加点してくれる点数がそれなりになってくると、難しくなるといわれている統一入試開始日午前以降の日程では効いてくるので、安易に他校の併願を選択するのではなく、再チャレンジという選択もできるので、よく考える必要があります。

2026年入試では、甲南女子が新たに複数回受験の加点制度を導入されます。複数回受験した生徒は2回目の受験の際にその得点の10%が加算、3回目の受験の際にその得点の15%が加算されるという方式で、大きい加点となっているので注目されています。

PROFILE 森永直樹(もりなが・なおき)

日能研関西 取締役
教室長、進学情報室室長、教室統括部長などを経て2017年より現職。
生徒への指導や保護者へのアドバイスを行うほか、私学教育、中学受験に関する講演などでも活躍。

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