受験に役立つコラム

活発化する兵庫の学校改革(2)

2025年9月9日
執筆:日能研関西 進学情報室 室長 森永 直樹氏

 

    前回に続き活発化する兵庫の学校改革の中から、数年前からの取り組みが実を結ぼうとしているところにも焦点をあて、2026年入試で注目される3校を紹介します。

 注目点はそれぞれ異なりますが、新たに発見された魅力によって、これまでにはない新しいファンの獲得が期待され、2026年入試動向に何らかの影響を与えることは確実です。

 

☆夙川中学校・高等学校(兵庫県神戸市)~個々の能力を最大限に伸ばす~

 1校目は神戸市兵庫区にある夙川中学校です。

同校は2019年に設置者が変更され、須磨学園の姉妹校となりました。そしてその教育方針は須磨学園と同じで、夙川中学校でも「SUMA STANDARD PROGRAM」が導入されています。

 「SUMA STANDARD PROGRAM」とは、将来社会の中で自己実現をできる人を育てるために取り組んでいる教育(国際理解教育・TBM教育・LCT教育・BNIT教育・キャリア教育・環境教育・

平和教育・ICT教育)のことです。

 現状では須磨学園と同じ教育を実践している点が一番の注目点で、評判の「国際理解教育」・「TBM教育」・」「ICT教育」と、大学入試にむけての高い学力育成(塾・予備校不要)への期待が高く、須磨学園の併願校の筆頭格で、既に人気校の一つになっています。

 今回ここで紹介したのは、この2025年3月に中高一貫の1期生が巣立ち、目覚ましい大学合格実績を出したからです。

 中高一貫1期生(49名)は、東京大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、九州大学にそれぞれ合格者を出し、国公立大学医学部医学科にも6名合格するなど、難関大学に多数合格しました。

 最も注目すべきなのは、重複することなくそれぞれの大学に1名ずつ合格している点です。全員が学校のみの学習で受験していることから、きめ細やかな指導が実践されていることがわかります。 

 須磨学園との違いが、「少人数制」だったため、教育目標に「得意を伸ばす」・「個性を伸ばす」ことが掲げられ、その指導のもとで「やればできる」という自己肯定感を高めることにつながったことが大きいようです。

 「少人数制」の強みを発揮し、手厚い指導で個々の能力を最大限に伸ばす進学校として再認識されることは確実で、2026年の注目校の一つです。ぜひ説明会に参加して「1期生の成長ストーリー」を聞いてください。

 

☆甲南女子中学校・高等学校(兵庫県神戸市) ~シン化する探究~

 2校目は神戸市東灘区にある甲南女子中学校です。

 甲南女子といえば、抜群の教育環境と女子校の良さがつまった一体感のある学校行事(文化祭や体育祭)が有名です。

 具体的には開放感のある吹き抜けの校舎や芝生のグラウンドなどが目立ちますが、図書館や自習室、アトリウム、プラザと清潔感のある自習スペースが多くあり、生徒たちは自分の好きな場所を選んで勉強できることが嬉しいようです。 また本気で取り組める学校行事も魅力の一つで、中でも体育祭の盛り上がりは圧巻で、行事を通じて同学年の友人だけでなく先輩や後輩と信頼関係が構築されています。

 現状では2つのコース(Sアドバンストコース・スタンダードコース)に分けた指導が定評で、2025年の大学進学実績では大阪大学に10名、神戸大学に4名など、約半数が国公立大学に合格するなど、生徒のやる気をしっかりとサポートしていくスタイルに期待が高まっています。

 また難関国立大の「総合型選抜入試」での合格率も50%を超えており、これからは「探究」のさらなる充実に注目したいところです。甲南女子独自の「探究T」は、中学期と高校期に分けた6年かけた体系的な指導が特長ですが、今後は高大連携がさらにすすみ、より社会実装可能なテーマ設定に取り組むようになります。これからが楽しみです。

 

☆松蔭中学校・高等学校(兵庫県神戸市)~GSコースが共学化~

 3校目は神戸市灘区にある松蔭中学校です。

 松蔭といえば、夏の白い制服がまず思い浮かぶ、神戸を代表する伝統ある女子校です。

 国際教育と探究教育のパイオニアである同校の教育の中では、プロジェクト型のキャリア教育に定評があります。

 具体的には、中学校のGSコースでは、企業とタイアップして商品開発アイデアを提案するプロジェクト、オンラインを通じて海外の先生に英語でインタビュー、日本語でのディスカッションなどが展開されています。また高校のGLコースでは、企業インターンシップやアントレプレナーシップの学びを体験しています。

 現状は、さらに「英語力」に磨きをかけることでより高いレベルの国際教育と探究学習を実現するために2コース制(DSコース・GSコース)をとっていますが、そのうちのGSコースが2026年入試より共学になります。男女合わせて30名の募集とし、インターナショナルスクール級のグローバル教育(中3終了時点で英検2級レベルを含む)が展開されることになり、注目されています。

 このGSコースについては「英語入試」での募集となっており、入試方式によって型式が異なるので入試要項で詳細は確認してください。

PROFILE 森永直樹(もりなが・なおき)

日能研関西 取締役
教室長、進学情報室室長、教室統括部長などを経て2017年より現職。
生徒への指導や保護者へのアドバイスを行うほか、私学教育、中学受験に関する講演などでも活躍。

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