受験に役立つコラム

2026年入試の反動は? 男女別学の巻き返しに期待!!

2026年6月2日
執筆:日能研関西 進学情報室 室長 森永 直樹氏

現在、関西の中学入試は大阪府の高校授業料無償化の影響を色濃く受け、かつてない盛り上がりを見せています。2026年度入試における中学受験率は10.88%と過去最高値を更新。受験者数も17,818人に達し、前年比で235人増加するなど、少子化の中でも過熱傾向が続いています。

多くの私立中学校の募集状況も近年では一番いい状況にはなっていますが、その人気は共学校に集中しています。男女別学はトップ校を除くと苦戦しており、特に女子校は深刻な状況です。男女別学には個性派の私学が多く、新しく面白い取り組みをしているのですが、うまく受験生に浸透せずに共学ブームにおされてしまっている状況です。2027年入試ではある程度今年の入試結果の反動も予想できるだけに、男女別学の巻き返しに期待しています。今回は、個性派で今注目している男女別学の私立中学校を1校ずつ紹介します。

 

☆報徳学園中学校(兵庫県西宮市)

1校目は兵庫県西宮市にある男子校の報徳学園です。報徳学園といえば、野球部やラグビー部、バスケットボール部など全国レベルで活躍する高校の運動部が有名です。関西では高い知名度がありますが、運動部のイメージが強すぎて、中高連結のコースが進学に力を入れていることが知られていなかったり、運動が苦手な生徒は学校に馴染めないのではないかと思われていたりします。確かに「文武両道」が特長の進学校なのですが、中学からの部活動は特別な能力は求められていないし、文科系のクラブも盛んなので運動が苦手な生徒でも気にする必要はありません。

現状は、勉強とクラブ活動をしっかりと両立させている「男子校らしい雰囲気」と、放課後の学習支援体制(独自の自習システムやレベルアップ講座)などの「面倒見の良さ」が評判となっています。徐々に第一志望にする生徒が増えてきていますが、上位校や人気校の併願校としての地位を確立しつつあります。

報徳学園のこれからの注目点は2つあります。まず1つ目が「国際教育」のさらなる充実と海外大学への進学サポートが強化されることです。あまり知られていないことが残念ですが、男子校の中では早い段階から海外研修(語学研修を含む)に力を入れており、コロナ以降その重要性が再認識され、目にとまるようになりました。また、これからの生徒たちが目指すキャリアを考えた際、海外大学進学希望者が増えていくのは間違いないことから、今年から海外大学進学サポートとしてカレッジカウンセラーが進路情報室に導入されました。国際教育に力を入れている同校だけにこれからが楽しみです。2つ目が定評ある「理数教育」です。中学からの上位コースにあたる「Ⅱ進コース」からは京大・阪大・神大の理系学部や国立大学医学部への実績があり、中学入試では第二・第三志望で入学した生徒でも大学入試でリベンジを果たしています。中でも数学の学力を伸ばす体系的な指導法は期待大です。 派手な中身はありませんが、男子校とは思えないくらいの「きめ細かさ」や「スモールステップ」にその秘訣があるようです文武両道を看板に、意外性のある教育コンテンツが魅力の男子進学校の報徳学園へ、一度足を運んでみてください。

 

☆大阪薫英女学院中学校(大阪府摂津市)

2校目は大阪府摂津市にある女子校の大阪薫英女学院です。大阪薫英女学院といえば、「留学」教育が有名です。高校からの国際科への進学を前提とする生徒は全員、中3の3学期から1年間ニュージーランドへの留学があります。中3からのターム留学で長くて3か月というところが多い中、薫英は「一年間」の長期留学が特長です。この留学が生徒募集での足枷となっている時期がありましたが、海外を視野に入れたキャリア志向の高まりや、中高6年一貫教育校でしかできない時期(中3~高1)に行う点が魅力となり、注目を集めるようになっています。

薫英の留学教育の強みは、直接提携姉妹校が50校以上あること、経験豊富な現地日本人アドバイザーがいることの「安心感」と、一年間という長い期間です。他校の3か月のターム留学をした生徒の話を伺っていると、ようやく馴染んできて、さあこれからと思うのが3か月目だそうです。もちろんそこまでいくだけでも十分ですが、そこで帰国するのはもったいないとも感じるようです。現状は、この留学以外では、定評ある英語教育や女子校ならではの良さ(とにかく学校生活が楽しい)で選ばれている学校です。英語教育は「使える英語(コミュニケーション・イングリッシュ)」を重視していて、「生徒を英語好きにさせること」と「英検資格の到達度の高さ」は信頼できるレベルです。

大阪薫英女学院のこれから注目点は、生徒に「キャリア構想力」をつけていくための取り組みです。AIが当たり前になっていく新時代に社会へ出ていく生徒の将来を見据えて、このAIの進化を認識しながら、将来のキャリアの方向性(まず自分はどの分野の専門性を身につけるべきか)、その手前となる大学で何を学ぶべきかを生徒自身で考える力が必要になります。そのために「グローバル探究」(2026年本格始動)と「キャリア講演会」の充実を図ります。薫英のグローバル探究は、中学時期の豊富な活動体験のなかで「好き」を見つけ、留学後には世界に視点を向けた探究テーマに取り組み、企業プログラムとの連携等を通して大学の総合型選抜入試にもつなげていくことが目標としています。留学だけでなく、ボーダレス時代にむけてシン化する大阪薫英女学院に注目してください。

 

PROFILE 森永直樹(もりなが・なおき)

日能研関西 取締役
教室長、進学情報室室長、教室統括部長などを経て2017年より現職。
生徒への指導や保護者へのアドバイスを行うほか、私学教育、中学受験に関する講演などでも活躍。

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